11月前半のM&A IRニュースまとめ|上場企業の最新買収・出資動向をチェック
本コラムでは、今注目されているM&A(企業買収・資本提携)ニュースを厳選し、上場企業を中心とした最新の動向をお届けします。業界再編の背景や各社の成長戦略を読み解くことで、今後のビジネストレンドを先取りしましょう。
デジタルハーツHD、カナダHUWIZを買収—全株取得で子会社化、英語デバッグ強化と欧米展開を加速
デジタルハーツホールディングス(東証プライム:3676)は11月6日、カナダのゲーム向けデバッグ・QA企業 HUWIZ SOLUTIONS INC. の全株式を取得し、連結子会社化すると発表した。取得価額は1,656.2万カナダドル、アドバイザリー費用等を含む総額は1,679.6万カナダドル。株式譲渡契約は同日締結、実行日は11月20日を予定する。
取引の概要
取得株式数は244,101株(議決権100%)。2026年10月期の業績実績に応じて追加対価が発生する可能性がある。2026年3月期の連結業績への影響は軽微と見込む。
狙いは英語デバッグの体制強化と欧米での顧客拡大
同社は英語対応のデバッグキャパシティを増強し、欧米での顧客基盤拡大を図る。インド拠点の活用やネイティブスタッフと国内約8,000名の人材基盤を掛け合わせた体制に、HUWIZのリソースと知見を組み合わせてシナジー創出を目指す。
HUWIZのプロフィール
本拠はモントリオール近郊。2017年創業以来、地場スタジオから欧米大手の人気シリーズまで品質向上を支援。2024年10月期は売上高1,239.2万カナダドル、当期純利益291.3万カナダドルを計上した。
SHIFFON、老舗ランドセル〈樋口鞄工房〉を完全子会社化—デザイン×クラフトで新ブランド展開、販路も拡大
SHIFFON(東京・港区)は11月6日、ランドセルメーカーの樋口鞄工房(東京・台東区)の全株式を取得し、完全子会社化したと発表した。職人の手仕立てと部材開発まで一貫対応する“ものづくり力”に、同社のファッション視点を融合し、機能と意匠を両立した新コレクションを展開する。
アフターサービスの機動力を強化
樋口鞄工房は首都圏近郊(川口)で生産・修理対応を行い、販売後のメンテナンスにスピーディーに対応可能。SHIFFONはこの地の利を生かし、顧客対応品質の底上げを図る。
デザイン再構築と販路の再生
ブランドの表現力を再構築し、OEM事業を継続しながら“樋口らしさ”を活かした現代的デザインへ昇華。販路は自社販売会や百貨店に加えGMSへ広げ、日常導線上での接点を増やす。
ものづくりエコシステムへ
グループ内の事業連携・人材交流を強化し、EC・実店舗、小売、メーカー、物流など多様なパートナーと協働。日本のものづくりに新たな循環を生むエコシステム構築を目指す。
SGHD、ディーライングループをSDトランスライン経由で100%取得—幹線輸送の主要委託先を孫会社化
SGホールディングス(東証プライム:9143)は11月7日、子会社のSDトランスラインを通じて、株式会社ディーラインおよびそのグループ6社の全株式を取得し、子会社化(SGHDから見て孫会社化)したと発表した。取得価額は非開示(適時開示基準の軽微範囲)。
目的は輸配送ネットワークの維持・安定化
SGHビジョン2030および中計「SGH Story 2027」に基づき、パートナー企業との連携強化を通じたサービスインフラの維持・強化を推進。ディーラインは佐川急便の宅配事業における幹線輸送の主要委託先で、売上高の50%超を占める重要取引先。事業承継とネットワーク安定化の観点から今回の取得を決定した。
ディーラインの規模感と今後
ディーラインの2024年8月期売上高は157.56億円。取得に伴う2026年3月期業績への影響は軽微と見込む。引き続きパートナーとのコミュニケーションを通じて最適な運営体制を構築する。
ジーイエット、UA子会社コーエンの全株取得で基本合意
ジーイエット(東証スタンダード:7603)は11月7日、ユナイテッドアローズ(UA)の連結子会社コーエンの全株式譲り受けに向け、基本合意を締結した。株式譲渡契約は12月25日、譲渡実行は2026年1月31日を予定。条件や取得価額は協議中で、最終契約に至らない可能性もある。
AI・デジタル・物流でブランド再成長へ
同社は「再生と創造」を軸に、AI・デジタル・物流・店舗運営の実行力を重ね合わせ、コーエンの再成長と持続的発展を目指す。GFグループとの連携により、国内外の物流・ECネットワークも活用する。
コーエンの業績
2008年設立のコーエンは、2025年1月期に売上高104.2億円、最終損失6.68億円、純資産は▲38.1億円。ジーイエットは“人と日常に寄り添う服づくり”のブランド文化を継承しつつ、デザインと運営の再構築を進める。業績影響は精査中。
三菱重工、陸上風力事業をJパワーへ譲渡へ—基本合意、2026年4月1日完了目指す
三菱重工業は11月、国内の陸上風力発電設備に関わる事業を電源開発(Jパワー)へ譲渡する協議開始で基本合意した。必要条件で合意後に最終契約を締結し、2026年4月1日の譲渡完了を目指す。
技術と事業基盤の統合で価値提供を強化
三菱重工は1980年代に大型風力タービン事業を開始して以来、40年以上の知見を蓄積。国内を含む11カ国へ累計4,200基を納入し、アフターサービスも提供してきた。Jパワーの発電事業者としての基盤と融合することで、風力発電事業および関連サービスの拡大を狙う。
双方の戦略と位置づけ
三菱重工は「2024事業計画」に基づくポートフォリオ最適化を継続。Jパワーは「J-POWER BLUE MISSION 2050」に沿い、電力の安定供給とカーボンニュートラル実現を加速する。
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