M&AのFA報酬とは?仲介会社との違いをわかりやすく解説
実際にM&Aを検討する際、多くの方が気になるのは「FAと仲介会社の報酬の違い」ではないでしょうか。
M&A(企業の合併・買収)を進めるときに企業が外部の専門家へサポートを依頼する方法は、大きく分けて FA(フィナンシャル・アドバイザー)方式 と 仲介会社方式 の2種類があります。両者は似ているようでいて、実際には報酬体系や立ち位置に明確な違いがあります。そこで、それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較しながら整理していきます。
FA(フィナンシャル・アドバイザー)とは
FAは、売り手または買い手のどちらか一方の立場に立ち、利益を最大化することを目的にアドバイスや交渉支援を行います。利害の相反を避けるため、両者を同時に支援しないのが特徴です。特に大規模案件や上場企業のM&Aでは、透明性と公平性が求められるため、FA方式が選ばれることが多くなります。
仲介会社とは
仲介会社は、売り手と買い手の双方に関わり、合意形成をサポートします。両者の間に立ち、条件を調整して取引成立に導く役割を担う点が特徴です。中堅・中小企業の事業承継やスモールM&Aでは、スピード感とネットワークを活かして仲介会社が活用されるケースが増えています。
FAと仲介会社の最大の違い
両者の大きな違いは、依頼者との立ち位置と報酬体系にあります。
- FA:依頼者の利益を最優先に行動し、相手側からは報酬を受け取らない。
- 仲介会社:売り手・買い手双方から報酬を受け取る場合があり、成立を重視する傾向がある。
この構造の違いが、報酬の仕組みに直結します。
FAの報酬体系
FAに依頼した場合の報酬は、以下のように分かれるのが一般的です。
・着手金:契約時に支払う固定費用(数百万円規模が多い)。
・月額報酬(リテイナーフィー):プロセスが続く間に発生する継続報酬。
・成功報酬:成約時に支払う成果連動型報酬。レーマン方式(取引金額に応じて料率が段階的に設定される方式)が多く採用される。
FAは調査・交渉に多くの工数を投じるため、初期コストや月額コストがかかる点が特徴です。
仲介会社の報酬体系
仲介会社の多くは、成功報酬型を基本としています。
- 着手金:無料、または少額に設定されることが多い。
- 成功報酬:成約時に取引金額の一定割合を受け取る(レーマン方式やその変形を採用)。
依頼者にとって初期コストが低い分、気軽に利用しやすいのが魅力です。ただし、双方から報酬を受け取る場合があるため、依頼者の利益だけに完全にコミットするとは限らない点には注意が必要です。
FAを利用するメリット・デメリット
メリット
・利益相反を避け、依頼者の利益を最大化してくれる。
・大規模・複雑なM&Aに強く、金融機関や投資家からの信頼性も高い。
・交渉戦略やスキーム構築の専門性が高い。
デメリット
・着手金や月額報酬など、初期コストが大きい。
・中小規模案件ではコスト負担が重く、利用しにくい場合もある。
仲介会社を利用するメリット・デメリット
メリット
・初期費用が抑えられ、中小企業でも利用しやすい。
・独自ネットワークを活用した迅速なマッチングが期待できる。
・成約インセンティブが強く、取引成立を推進しやすい。
デメリット
・売り手・買い手双方から報酬を得る場合、利益相反が生じる可能性がある。
・成立重視のあまり、条件交渉で依頼者の希望が十分に反映されないことも。
・交渉力や専門性はFAに比べて限定的な場合がある。
どちらを選ぶべきか?
選択は案件の規模や目的に左右されます。
- 中小企業の事業承継やスモールM&A:コストを抑えスピード重視 → 仲介会社が適しているケースが多い。
- 上場企業や大規模案件:透明性や高度な交渉力が求められる → FAが適しているケースが多い。
いずれの場合も、依頼前に報酬体系や契約条件をしっかり確認することが不可欠です。
まとめ
M&AにおいてFAと仲介会社は、立ち位置も報酬体系も大きく異なります。
- FA:依頼者の利益を最大化する立場。着手金・月額報酬・成功報酬が基本。
- 仲介会社:売り手と買い手を取りまとめる立場。成功報酬中心で初期コストが低い。
重要なのは、自社のM&A戦略に合った方式を選ぶことです。報酬だけに目を向けるのではなく、立ち位置や専門性を含めて総合的に判断することが、成功への近道となります。
「4C’s事業承継サービス」とは
4C’sパートナーズが提供する居抜き物件の出店・居抜き売却・M&Aによる事業承継を検討する方に向けて、最適な支援企業をご紹介するサービスです。
複数の支援企業を比較・検討できるため、目的や状況に応じた最適なパートナー選びが可能です。