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ノウハウ(M&A)

スモールM&Aとは?─中小企業・個人事業主のための入門ガイド

近年注目を集める「スモールM&A」。大企業同士の大型M&Aとは異なり、数千万円規模から数億円程度までの小規模な事業承継や売買を指します。中小企業や個人事業主にとって、スモールM&Aは事業の存続や成長を支える重要な手段となりつつあります。本稿では「スモールM&A の基礎」をテーマに、その特徴やメリット、基本的な流れをご紹介します。

スモールM&Aとは何か

スモールM&Aとは、比較的小規模な事業や会社を対象としたM&Aの総称です。対象となるのは中小企業や個人事業の事業譲渡が中心で、規模感としては売却額が数百万円〜数億円程度であることが一般的です。
近年では後継者不足や人手不足を背景に、地域の飲食店や小売業、介護事業所、ITベンチャーなど多様な分野で活用されています。

スモールM&Aが注目される背景

1. 後継者不足の深刻化

中小企業庁によれば、日本の中小企業経営者の年齢は平均60歳を超え、後継者未定の企業が多く存在します。事業承継の受け皿としてスモールM&Aは重要な選択肢になっています。

2. 低コスト・短期間での実施が可能

大規模M&Aと異なり、スモールM&Aは手続きがシンプルで専門家費用も比較的抑えられる場合があります。数か月程度で成立するケースも珍しくありません。

3. 個人投資家・起業家の参入

「会社をゼロから立ち上げるより既存事業を買収した方が効率的」との考えから、個人による小規模買収も広がっています。特に飲食店、美容室、ECサイトなどの分野では事例が増えています。

スモールM&Aのメリット

売り手のメリット

・廃業せずに事業を存続できる
・従業員や取引先との関係を守れる
・売却資金をリタイア資金や新事業に活用できる

買い手のメリット

・ゼロから起業するよりリスクが低い
・既存の顧客基盤や人材を活用できる
成長市場への参入をスピーディに行える

スモールM&Aの基本的な流れ

1.準備・相談
売り手は自社の価値を把握し、専門家へ相談。買い手は希望条件を整理します。

2.マッチング
M&A仲介会社やオンラインプラットフォームを通じて相手を探します。

3.基本合意
価格や条件を大枠で合意し、秘密保持契約を締結します。

4.デューデリジェンス(調査)
財務・法務・税務・労務などを確認。規模が小さい場合でも欠かせない工程です。

5.最終契約・クロージング
正式契約を結び、資金や株式の引き渡しを行います。

注意すべきポイント

・適正な企業価値評価を行うこと
・契約書の内容を専門家と確認すること
・従業員や取引先への説明を適切に行うこと
・事業承継後の運営計画を明確にしておくこと

小規模だからこそ手軽に進められる反面、リスク管理を怠ると後々のトラブルにつながるので注意が必要です。

スモールM&Aの今後

近年は、中小企業庁や自治体がスモールM&Aを推進しています。マッチングサイトや補助制度も整備され、より多くの経営者や個人が活用できる環境が整いつつあります。また、金融機関や会計事務所などが地域の中小企業を支援するケースも増えています。

スモールM&Aは、中小企業や個人事業主にとって「事業の出口戦略」であり、「新しい挑戦の入り口」でもあります。後継者不足の解消、地域経済の活性化、個人起業家の新しいビジネスチャンス──こうした役割を担うスモールM&Aの基礎を理解することは、今後ますます重要になるでしょう。

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