7月前半のM&A IRニュースまとめ|上場企業の最新買収・出資動向をチェック
本コラムでは、今注目されているM&A(企業買収・資本提携)ニュースを厳選し、上場企業を中心とした最新の動向をお届けします。業界再編の背景や各社の成長戦略を読み解くことで、今後のビジネストレンドを先取りしましょう。
住友林業、米製材工場をグループ化 木材コンビナート事業を本格展開へ
住友林業株式会社は、100%子会社のSumitomo Forestry America, Inc.(SFAM社)を通じ、7月1日に北米大手製材会社Teal Jones Groupから、Teal Jones Louisiana Holdings LLC(TJLH社)およびその子会社Teal Jones Plain Dealing, LLC(TJPD社)の持分100%を取得し、米国で初の木材コンビナート事業の展開を発表しました。ルイジアナ州で住宅用ディメンション材やマスティンバーの製造を計画し、原木のカスケード利用により木材の価値最大化を目指します。
この新しい事業は、住友林業の既存米国事業(分譲住宅事業、不動産開発事業)と相乗効果を発揮し、米国市場での事業拡大を加速させる見込みです。また、バイオマス発電やリファイナリーなどへの木材残渣利用も検討されており、持続可能な木材活用が推進されます。
キユーピー、アヲハタを完全子会社化へ 株式交換で完全子会社化
2025年7月3日、キユーピー株式会社(東証プライム、コード:2809)は、アヲハタ株式会社(東証スタンダード、コード:2830)を完全子会社化するための株式交換契約を締結したことを発表しました。本株式交換は、2025年9月25日にアヲハタの臨時株主総会で承認された後、2025年11月1日を効力発生日として実施される予定です。
キユーピーは、アヲハタ株式の44.62%を既に保有しており、株式交換によりアヲハタを完全子会社化します。この決定は、両社のガバナンス強化と経営資源の共有を目指し、グループ全体の成長を加速させることを目的としています。
また、アヲハタの株式は2025年10月30日をもって上場廃止となり、アヲハタ株主はキユーピー株式に交換される予定です。両社は、ブランド価値の向上、経営資源の相互活用、コスト削減などのシナジー効果を見込んでいます。
コンヴァノ、美容業界の巨大化構想へ第一歩 孫会社取得でM&A戦略を本格始動
株式会社コンヴァノ(東証グロース・6574)は、美容業界の事業拡大に向けたM&A戦略の第一弾として、子会社の虎ノ門キャピタル株式会社を通じ、ファンド運営会社である株式会社アセットクリエイトを完全子会社化した。これにより、同社が無限責任組合員を務める「日本美容・ヘルスケア成長投資1号組合」および同ファンド傘下の株式会社TKBCも、グループ傘下に加わることとなった。
アセットクリエイトは、美容領域における有望企業を保有しており、今回の取得はコンヴァノが掲げる「売上1兆円規模の美容コングロマリット構築」という中長期戦略の中核を担う。M&Aによるプレイヤーの統合を通じて、事業シナジーの創出と新たな投資機会の獲得を見込む。
また、第4回新株予約権の行使開始日は2025年7月17日となり、財務戦略の一環としての資本調達も視野に入れた成長基盤づくりが進められている。
コンヴァノは今後、美容およびヘルスケア市場における投資をさらに加速させ、業界再編の主導的立場を狙う構えだ。
JKホールディングス、潮田木材店の建築資材販売事業を譲受
JKホールディングス株式会社は、子会社の株式会社ブルケン関東(以下BK関東)を通じて、株式会社潮田木材店(茨城県神栖市)の建築資材販売事業を譲り受ける契約を締結したと発表した。事業譲受は2025年8月1日に実行される予定。
潮田木材店は、木材および建築資材の販売を行っており、近年は売上減少や赤字計上が続いていた。JKホールディングスは中期経営計画『Value Proposition27』に基づき、M&Aを通じた拠点整備を進めており、今回の事業譲受により同社グループの小売セグメントの拠点拡充とサービス向上を図る考え。
譲受後は、BK関東/鹿島営業所として新たに営業を開始する。なお、譲受価格は非開示だが、適切なデューデリジェンスを実施済みとしている。
丸紅、カナダの自動車延長保証大手LGM社を子会社化 北米モビリティ事業を強化
丸紅株式会社は7月7日、カナダの自動車延長保証大手、LGM Financial Services Inc.(以下、LGM社)に出資参画し、同社を子会社化したと発表した。LGM社は自動車向け延長保証商品の企画・販売・保証請求処理を手がけ、カナダ全土で業界トップクラスのシェアを誇る。
同国では車検制度が簡易なことから故障リスクが高く、新車購入者の約4割が延長保証に加入している。市場は2030年までに年平均10%前後の成長が見込まれている。
丸紅は中期経営戦略「GC2027」の一環として、北米モビリティ事業の拡大を推進中。今回の出資により、成長著しいカナダ市場への本格参入を果たし、LGM社の先進的な販売・管理システムと自社の知見を融合させ、高付加価値サービスの提供を目指す。