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ノウハウ(M&A)

親族内承継かM&Aか——“想い”と“現実”を両立させる最適解

はじめに 一択にしないことが重要

事業承継には「会社の未来」「家族の人生」「社員の雇用」が交差します。親族内承継は理念や文化の連続性に強みがあり、M&A(第三者承継)は外部の資本・人材を取り込み成長を加速できる強みがあります。どちらが“正解”ではなく、自社の条件に最も合う選択をすることが重要です。本コラムでは、両者の特徴と選び方の軸を紹介します。

親族内承継の基本

メリット

  • 社風・理念の連続性が高く、取引先・地域社会の安心感が大きい。

  • 現経営者の影響下で段階移行しやすい。育成計画・引継ぎ期間の設計が可能。

  • 家族資本としての一体管理がしやすい。

デメリット

  • 後継者の意思と適性が大前提。後継者が力不足なら停滞リスクにつながる。

  • 相続・贈与・株式集約、同族間の公平性など税務・法務の難度が上がる。

  • 家族感情が意思決定を遅らせ、外部人材の登用が後手に回りやすい。

親族内承継が向いているケース

  • 暗黙知や地域の信頼が競争力の中心になっている。

  • 3~5年の育成期間を確保できる。

M&A承継(第三者承継)の基本

メリット

  • 後継者不在でも承継可能。買い手の販路・人材・資本で成長の余地がある。

  • 経営者の個人リスクを整理しやすい(保証解消・資産分散)。

  • 条件が整えば半年~1年程度といった比較的短期でクロージングが可能。

デメリット

  • 文化の不一致や統合のプロセスで離職・摩擦の恐れがある。

  • 秘密保持と候補探索・交渉に負荷がかかる、価格以外の条件の争い。

  • 経営者・特定顧客への依存が強いと評価が下振れしやすい。

M&A承継が向いているケース

  • 成長投資やデジタル化を外部リソースで一気に進めたい。

  • 個人保証の早期解除や資産の現金化を重視。

選び方の判断軸5つ

  1. 理念・地域性:連続性重視なら親族内、外部資源を注入するならM&A

  2. 後継者の適性×覚悟:明確なら親族内、曖昧ならM&Aも並走検討

  3. 時間:3年以上の余裕があれば親族育成、~1年で区切りたければM&A優位

  4. 株式・税金・資金:評価額・納税資金が重いならM&Aで現金化も選択肢

  5. 雇用と取引の保全:買い手シナジーで雇用維持が強化されるならM&A

      まとめ “想い×現実”の交点で決める

      親族内承継は 文化の連続性、M&A承継は 外部資源での飛躍 が強みです。結論を急いで一択にせず、親族内を第一候補に据えつつM&Aも並走検討することで交渉力が高まり、最終的に「理念も数字も守る」着地が見えます。3年スパンで逆算し、見える化→資本・税務設計→価値向上→人の定着という順で粛々と進める——それが、後悔のない承継の最短ルートです。

       

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