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ノウハウ(店舗)

居抜き物件の選び方——“最短距離で開業”する実践ポイント

「初期投資を抑えて早く開業したい」。そう考える飲食・美容・小売業の方にとって、居抜き物件は強力な選択肢です。しかし、表面的な内装や什器に目を奪われると、開業後に“見えない修繕費”や“法令適合の落とし穴”で痛い目を見ることも。ここでは、居抜き 物件 選び方の要点を、現場で役立つ観点に絞って解説します。

1. 立地は「箱の魅力」より強い——商圏・動線・可視性

まずは立地×商圏。昼夜・平日休日の人流パターン、物件前の動線、看板の抜け(視認性)を現地で確認しましょう。競合の密度や価格帯、Uber Eats などのデリバリー需要も要チェック。箱が完璧でも、人の行き来が無い通りでは勝ち筋が細くなります。

2. 造作譲渡は“価値”ではなく“適合”で見る

居抜きの肝は造作譲渡。前テナントのレイアウトや什器が自店の業態に適合するかが重要です。たとえば居酒屋→カフェに転用するなら、客席数×回転率の設計が合うか、カウンター導線がドリンク提供に向いているかを検証。造作代が安くても、結局改装箇所が多くなるのなら割高になってしまいます。

3. インフラ容量の“数字”を必ず押さえる

電気容量(kVA)/ガス(号数)/給排水(径・勾配)/排気ルートは、図面と現地で二重確認。飲食ならグリストラップの有無・容量、ダクトの防火区画、屋上・外部の排気位置がクレームリスクを左右します。ベーカリーや焙煎など高負荷業態は特に注意。

4. 法令・許認可の“初期適合”をチェック

保健所の指導基準(シンク数、手洗い、動線)、消防(内装制限、誘導灯、消火器、火気使用設備)、用途地域や建物の用途変更の要否は、契約前に所轄へ相談して“言質”を取りましょう。後付け工事が難しいケースは撤退コストが高くつきます。

5. 契約条件は“総支払”で比較する

賃料だけでなく、共益費・管理費・看板料・更新料・保証会社料・原状回復範囲を含めた実質坪単価で比較。解約予告期間や中途解約違約金、スケルトン返し義務の有無は、撤退時のダメージコントロールに直結します。造作譲渡契約書では、動産の範囲と引渡状態(現状有姿か、動作保証ありか)を明文化しましょう。

6. 数字で“回収プラン”を作る

初期費用(保証金・礼金・仲介・造作代・軽微改修・厨房機器調整・広告宣伝・運転資金)を回収月数で割り、損益分岐売上と席(面)生産性で裏取りします。想定売上に季節変動と立ち上がりラグを掛け、最低でも6か月分の運転資金を確保したいところ。

7. 引渡し当日の“現物検収”を習慣化

鍵渡し時は、設備台帳・保証書・メンテ履歴の有無を確認。厨房機器は通電・着火・漏水を現場でチェックし、冷蔵・冷凍は到達温度を実測。床下・天井内の漏水痕、臭気、カビ、傾きは写真と動画で記録に残します。

8. よくある失敗パターン

・「表面はきれい」だが隠れ劣化(配管・防水)でコスト爆発
・騒音・臭気トラブルで営業制限
・電気・排気容量不足で機器がフル稼働できない
・ブランド不一致(客層・価格・世界観)でリピートが伸びない

9. “勝てる居抜き”の見極めサイン

・造作と業態が8割以上合致(席数・厨房動線・インフラ容量)
・軽微改修でオープンでき、写真映えする要素が残っている
・契約条件が撤退に寛容(短い解約予告、スケルトン返し不要など)
・近隣で相乗効果が見込める店がある

10. 現地確認のミニチェックリスト

・立地:人流(時間帯別)、視認性、看板設置可否
・インフラ:電気kVA/ガス号数/給排水径・勾配/排気ルート
・設備:グリストラップ、給湯、空調能力、分電盤、ブレーカー余裕
・法令:保健所・消防の指摘想定、用途地域、用途変更の要否
・契約:原状回復、解約予告、更新料、造作範囲、動産の状態記録
・コスト:初期費用総額、回収月数、運転資金(6か月目安)

— 当社のサポート —

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まとめ

居抜き物件の選び方は、「安さ」ではなく適合×法令×総コストでの総合判断。数字と現地検証で“勝ち筋”を先に描けるかが成否を分けます。物件は一点ものです。良縁に出会ったら、資料収集→所轄確認→条件交渉→現物検収までを一貫して進めましょう。

 

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