【不動産投資のリアル】利回りだけで選んでない?「建物の構造」と「新旧耐震基準」から考える、失敗しない物件選び

「おっ、この物件、表面利回り12%超え!これは買いだ!」 不動産投資サイトを眺めていて、そんな魅力的な数字に目を奪われることがあるかもしれません。
しかし、飛びつく前に少しだけ立ち止まって考えてみてください。 「なぜ、この物件はこんなに高利回りなのか?」
もっと言えば、「なぜ、ここまで安く売られているのか?」と。
不動産の世界に、理由のない掘り出し物はありません。利回りの高さの裏には、必ず「安くしなければ売れない理由」が存在します。
不動産投資は、株やFXとは異なり、実体のある「モノ(建物)」に投資するビジネスです。どうしても立地や利回りに目が行きがちですが、実はその利回りの根拠を形作っているのが「建物の構造」と「耐震基準」なのです。ここを見誤ると、買った後に「こんなはずじゃなかった…」と頭を抱えることになります。
今回は、少し小難しくて敬遠されがちな建物のスペックの話を、投資家の超リアルな目線「ズバリ、なぜ安いのか?」「どう稼ぐのか?」から、分かりやすく紐解いていきます。
木造、鉄骨、RC…構造は「キャッシュフロー」と「出口」のシグナル
まずは「建物の構造」です。物件概要書にある「W造(木造)」「S造(鉄骨造)」「RC造(鉄筋コンクリート造)」というアルファベット。これらは単なる建築用語ではなく、あなたの投資戦略を決定づける重要な要素です。
-
木造(W造) 建築コストが安いため物件価格も抑えられ、表面利回りが高くなりやすいのが最大の魅力です。また、法定耐用年数が「22年」と短いため、短期間で大きな減価償却費を計上して節税を狙う高所得層の投資家によく好まれます。ただし、建物の劣化が早く、銀行の融資期間が短くなりがちという弱点も。一方で、解体費用が安いのは、最終的に「更地にして売る」という出口戦略における隠れたメリットになります。
-
鉄筋コンクリート造(RC造) いわゆる「マンション」の王道です。法定耐用年数が「47年」と圧倒的に長く、建物の担保価値が落ちにくいため、金融機関から30年以上の長期融資を引きやすいのが最強の強み。毎月の返済額を抑え、手残りのキャッシュフローを生み出しやすい構造です。しかし、物件価格が高く利回りは低くなりがち。さらに、外壁塗装やエレベーター保守など、大規模修繕の費用が重くのしかかる側面も持っています。
-
鉄骨造(S造) 木造とRC造の中間的存在です。一定の耐久性を持ちながらRC造よりは建築費が安く、利回りと融資期間のバランスが取れた運用が可能です。
「RCだから最強」「木造だからダメ」という単純な話ではありません。「節税&高利回り」を狙うのか、「長期安定・融資活用」を狙うのか。自分の投資スタイルに合わせて構造を選ぶのが、プロの第一歩です。
投資家が暗記すべき運命の年月「1981年6月」
そして、構造以上にシビアで、絶対にチェックを怠ってはいけないのが「耐震基準」です。不動産業界には、投資家が暗記しておくべき運命の年月があります。それが「1981年(昭和56年)6月」です。
ここを境に建物の強度は「旧耐震基準」と「新耐震基準」に明確に分かれます。
-
旧耐震基準(1981年5月31日以前) 「震度5程度の地震で倒壊しない」という、中規模地震を想定した基準。
-
新耐震基準(1981年6月1日以降) 「震度6強から7程度の地震でも倒壊しない」という、大地震を想定した厳しい基準。
ここで初心者が陥りやすい強烈なトラップがあります。それは、「建物の完成日(竣工日)」ではなく、「建築確認済証の交付日(役所に図面を出して建築OKをもらった日)」が1981年6月1日以降かどうかで判断されるという点です。1981年12月に完成したマンションでも、役所のハンコをもらったのが同年3月であれば、問答無用で「旧耐震」扱いになります。
表面利回り15%?「旧耐震」と「新耐震」で全く違う投資のリアル
ポータルサイトで利回りランキングを検索すると、上位に食い込んでくるのは決まって築40年超の旧耐震物件です。「旧耐震は危険だからダメ、新耐震が正解」と思われがちですが、不動産投資において旧耐震が悪というわけではありません。実は、新耐震と旧耐震では「投資としての稼ぎ方」が根底から異なるのです。
【新耐震基準】融資とレバレッジを効かせる「王道スタイル」
新耐震は安全性が高く、銀行からの担保評価が出やすいため、融資を引きやすいのが最大の特徴です。少ない自己資金で数千万円の物件を買う「レバレッジ効果」をフルに活かせます。また、将来自分が物件を手放す際も、次の買い手がローンを組みやすいため「出口(売却)」がスムーズです。ただし、人気がある分、物件価格は高く、利回りはマイルドになります。
【旧耐震基準】現金と土地値で高利回りを狙う「玄人スタイル」
一方、旧耐震の物件は倒壊リスクなどの観点から銀行の融資が極端に厳しくなり、基本的には「現金一括」で買える人しか土俵に上がれません。
さらに、築40年以上が経過しているため、雨漏りや給排水管のトラブルなど、新耐震の物件と比べて圧倒的に不具合が多く、突発的な修繕費用が発生しやすいという避けられない事実があります。
売り手からすれば「いつ何が壊れるか分からないから、安くても手放したい」と考えます。買い手からしても「今後の修繕費を見込んで、その分安く買わなければ割に合わない」と判断します。 つまり、「融資が使えない(買い手のライバルが少ない)」×「突発的な出費が想定される」という二重のハードルがあるからこそ、物件が格安で市場に出回り、結果として10%~15%超という驚異的な「表面上の高利回り」が実現できるのです。
旧耐震は「ダメ」なのではなく、「潤沢な現金(購入費+突発的な修繕費)を持っている人が、無借金で高いキャッシュフローと好立地を刈り取るための玄人向け物件」だと言えます。
おわりに:利回りの裏側を見極め、自分の戦略に合った物件選びを
不動産投資とは、れっきとした「賃貸経営ビジネス」です。
成功する秘訣は、目先の「利回り」という甘い蜜に惑わされず、「なぜこの利回りになっているのか?」という数字の背景を、建物の構造と新旧耐震基準からしっかりと読み解くことに尽きます。
これから物件探しを始める方は、まずは融資を引きやすく、突発的な出費も(旧耐震に比べれば)予測しやすい「新耐震基準」の物件から選ぶのが、最も確実な王道ルートです。その上で、もし現金に十分な余裕と覚悟があるなら、あえて旧耐震の超高利回りを狙うのも一つの手です。
物件探しは宝探しに似ていてワクワクするものですが、表面的な数字だけを追うのは禁物です。利回りの裏側に隠された理由を冷静に見極める「知識」を武器に、ご自身の資金力や投資スタイルに合った最高の物件を見つけてください。
関連記事
本記事では建物の構造と耐震基準という視点から物件選びのポイントを解説しましたが、投資を成功させるためには「利回り」と「コスト」の正確な理解も欠かせません。
表面利回りに隠されたリスクや、実際の運用でかかるコストについて詳しく知りたい方は、ぜひ下記の保存版コラムもあわせてご一読ください。
【保存版】「表面利回り」だけで選んでいませんか?不動産投資を成功に導く4つの利回りと「隠れコスト」の罠
「4C’s事業承継サービス」とは
4C’sパートナーズが提供する居抜き物件の出店・居抜き売却・M&Aによる事業承継を検討する方に向けて、最適な支援企業をご紹介するサービスです。
複数の支援企業を比較・検討できるため、目的や状況に応じた最適なパートナー選びが可能です。
