法人向けリースバックで資金調達。自社不動産を活用した事業拡大戦略と成功事例

「リースバック」と聞いて何を思い浮かべますか?
「個人の住宅ローン返済に困った人が使う手法」「資金繰りに窮した中小企業の最終手段」……
正直なところ、そんなネガティブなイメージをお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
しかし今、ビジネスの最前線ではその常識が大きく変わりつつあります。 自社ビルから物流倉庫、工場まで、いまや日本を代表する上場企業たちが、事業を急拡大させるための「攻めのカード」としてリースバックを相次いで活用しているのです
本コラムでは、上場企業が実践する戦略的なリースバック活用術を紐解きながら、御社の成長を加速させるヒントを探ります。
もはや「リースバック=業績不振の延命策」ではない
「そうは言っても、結局は赤字企業の延命策だろう」という声が聞こえてきそうです。確かに、過去を振り返ればそのような側面があったのは事実です
記憶に新しい2020年以降のコロナ禍。旅行業界の大手であるJTBは、需要消滅により過去最悪の1,051億円という最終赤字を計上しました
しかし、今回フォーカスしたいのは、こうした「止血のためのリースバック」ではありません。手元の不動産価値を現金化し、より高い収益を生み出す事業へ大胆に再投資する「極めて前向きな資金調達」の話です
「場所と看板は残し、資金だけを機動的に引き出す」という身軽な経営(アセットライト戦略)こそが、今の時代のトレンドとなっています
【攻めの事例①】電通グループに学ぶ、巨額資産の“流動化”
象徴的なのが、電通グループの事例です
2021年、同社は東京・汐留にそびえ立つ巨大な本社ビル(地上48階)を、信託受益権を譲渡するという高度なスキームで思い切って売却しました
注目すべきはここからです。同社は売却後もSPC(特別目的会社)と賃貸借契約を結び、必要なフロアに絞って戦略的に入居を継続しています
そして得た巨額のキャッシュは、将来の成長に向けたDX投資や構造改革の原資へと集中的に投下されました
【攻めの事例②】倉庫や工場も対象に。オンワードHDの柔軟な物流戦略
「うちは都心の一等地に立派な自社ビルなんてない」と思った方、リースバックはオフィスビルだけの特権ではありません。「倉庫」や「工場」も十二分に活用できるのです。
アパレル大手のオンワードホールディングスの例を見てみましょう
もちろん、売却したからといって物流を止めるわけにはいきません。引き渡し後も「当面はテナントとして入居を続ける」という実質的なリースバック契約を結んでいます
将来的な物流網の再編を見据えつつ、ひとまず重たい固定資産リスクは切り離して身軽になる
自社不動産は、銀行借入に代わる「攻めのカード」
「事業で使う不動産は、自社で所有してこそ一人前」――そんな昭和・平成の常識は、もはや過去のものになりつつあります。
新規事業を立ち上げたい、ライバル企業をM&Aで傘下に収めたい、最新設備を導入して生産性を飛躍的に引き上げたい。いざという勝負のタイミングで、「銀行の融資枠がいっぱいで動けない」では機を逃してしまいます。
もちろん、リースバック後は減価償却費が消滅する代わりに、毎月家賃を払い続けるというトレードオフは発生します
経営者の皆様、一度会社の足元を見直してみてください。
毎日当たり前のように使っているそのオフィス、倉庫、工場には、次のステージへ駆け上がるための「成長エンジン」が眠っているかもしれません。
関連記事
本コラムでは、自社ビルや倉庫など「事業用不動産」を活用した戦略を解説しましたが、経営者個人の「自宅」においても有効な手段として注目を集めています。
多額の資産が眠るマイホームをあえて現金化し、手元資金を厚くする経営者たちの狙いとは? 個人の資産を活用したもう一つの「攻め」の戦略について、ぜひこちらの関連記事も合わせてご覧ください。
リースバックは「攻め」の資産戦略。経営者が自宅をあえて借り物にする本当の理由
「4C’s事業承継サービス」とは
4C’sパートナーズが提供する居抜き物件の出店・居抜き売却・M&Aによる事業承継を検討する方に向けて、最適な支援企業をご紹介するサービスです。
複数の支援企業を比較・検討できるため、目的や状況に応じた最適なパートナー選びが可能です。
